心の宇宙散策57 魔法の店~本当の願い・夢は何か
魔法の店(Magic Shop)は、心理劇でよく使われる手法である。その店は、夢を叶える店であるが、お金ではなく自分がもっている何かをさし出して、夢と交換をする店である。
店には、主人 (監督的存在) と店員 (客と監督を助ける存在)がいて、客の願いを聞き、客が幸せになるように話をきき、客の夢の矛盾を指摘して討論に持ち込んだりして、幸せになるのを手伝うという設定である。
このロールプレイングは、人間関係の訓練法でもあり3人一組で行われる。三つのそれぞれの役を演じることが人間関係の訓練・練習にもなる。
このワークをカウンセリングの授業で与え、感想を書いてもらった。
お店の主人役が難しい、自分が差し出せるものは何かが分からない、本当に欲しいものがはっきりしていないなどのとまどいも見られたが、多くの興味深い学びが感想にでていた。感想の部分的ないくつかを紹介しよう。
「人間って本当に心から欲しかったら自分で努力して手に入れると思うし、努力して手に入れるからその喜びもあるのだとロ-ルプレイをして思いました」。
「ただ‘欲しい’と思うのではなく、‘なぜ欲しいか’‘それを使ってどうするか’‘本当に必要か’等と考えてみると本当に必要なものが見えてくる・・・・努力が足りないのだなと考えさせられました」
「物やお金よりも愛が一番大切だと思いました。死んだ時に幸せだったなと感じることはやっぱり愛ではないか。・・・・大切なものは何なのか見つける事ができた」
「最初は車などのモノが欲しいと言った。でも‘それであなたは幸せになれますか。もっと大切なものがあると思うよ’と言われ、確かにそれだけでは幸せになれない。じゃ、絆だ。家族や友だちの絆があれば本当の幸せがみつかると分かった・・・優しさを失って絆を得た私は、家族と愛を育めると思う・・・・自分が発見できてよかったです。」
「私は‘出世する’と引き換えに‘寿命10年分’と交換すると言いました。この解答から、私は、人生が長くても短くてもまわりに認めてもらい、輝いていきたいんだと思いました。」
「‘どらえもん’っていう意見で皆一致して話がはずんだけど、先生が入ってきて、否定的な意見で・・・みんなの意見とは全く違って現実的な感じで・・・現実を見せられた。」
心の中だけでもいいから、魔法の店にときどき出かけ、心のピントを絞って夢と現実を生きる力をつけて欲しいものである。